研究内容

より詳しい説明は英語版をお読みください。

★ 自動運転車のための交通プロトコル

複数の自動運転車が交差点や合流点に近づいている時,衝突を回避するためには「車両の優先度割当」と「相互車両の情報交換/インタラクション」が必要です.本研究で開発した手法では,まず車両の経路/周囲の混雑度に基づいて,交差点/合流点における各車両の優先度(Priority)を決定し,その優先度に応じた交差点/合流点の利用時間を各車両に割り当てます.また,Vehicle-to-Vehicle Communications (車車間通信)を用いることにより,交差点/合流点付近の情報交換/インタラクションを可能にします.本研究では実際の車載通信 DSRC (Dedicated Short-Range Communications) と 我々が設計・実装した3Dシミュレータ AutoSim を用いた評価を行っています.

研究成果: IEEE RTCSA 2017, A Configurable Synchronous Intersection Protocol for Self-Driving Vehicles.

ACM/IEEE ICCPS 2017, A Merging Protocol for Self-Driving Vehicles.

ACM/IEEE ICCPS 2018, Dynamic Intersections and Self-Driving Vehicles. [特設ページ]

★ 人間が運転する車と自動運転車の協調・共存のための Cooperative Perception

自動運転車 (Self-Driving Vehicles) の恩恵を最大限引き出すためには,人間が運転する車 (Human-Driven Vehicles) との安全・安心な協調・共存が必要不可欠です.本研究では複数の自動運転車がセンサ情報をリアルタイムに共有することで,センシング可能な範囲を広げ,より安全な行動決定を可能とする Cooperative Perception を提案しています.本研究の評価には我々が設計・実装した3Dシミュレータ AutoSim とオープンソースのシミュレータ SUMO 及び CARLA を用いています.

研究成果: IEEE RTCSA 2019, V2V-based Synchronous Intersection Protocols for Mixed Traffic of Human-Driven and Self-Driving Vehicles.

★ クラウドセンシングのプライバシー保護

ユーザが所有するセンサデバイスを用いたクラウドセンシング・参加型センシングでは低コスト・広範囲のセンシングが期待できますが,一方で多くのユーザを集めるためにはプライバシー情報の保護は非常に重要な課題です.本研究では,ユーザのプライバシーを保護しながら統計的な情報を取得することを目的に,ユーザの持つセンサデバイス上でプライバシー保護処理を行う手法を開発しました.本研究によって,一般ユーザが他者にプライバシー情報を明かすこと無く,参加型センシング・モバイルセンシングに貢献することのできる環境基盤を構築することができました.

研究成果: IEEE ICC 2014, Privacy-Preserving Community Sensing for Medical Research with Duplicated Perturbation.

IEEE ICC 2016, Democratic Privacy: A Protocol-hidden Perturbation Scheme for Pervasive Computing.

★ 路線バス・都市交通データを用いた大規模イベントの早期検知 (マイクロソフト・リサーチとの共同研究)

都市圏で大規模イベントが発生すると,混雑・列車遅延・渋滞・群集事故などに結びつくことが多々あります.本研究では,路線バスやシャトルが同じルートを,同じスケジュールで周期的に走ることを利用し,これら大規模イベントを早期検知する手法を提案・開発しました.本研究で提案した手法では,路線バス等の交通車両データに対して,グラフ理論を用いてデータマイニングを行っています.本手法の評価には,北京市交通局が提供する路線バス/シャトルの走行データ 7000台 × 約5ヶ月 を利用しました.

研究成果: ACM SIGSPATIAL GIS 2017, An Early Event Detection Technique with Bus GPS Data.

IEEE Transactions on Big Data 2018, BusBeat: Early Event Detection with Real-Time Bus GPS Trajectories.